こんにちは。古民家再生LABOのイシです。
町田の実家古民家は茅葺きの屋根なのですが、町田とはいえ一応都内にある茅葺き屋根の古民家は珍しいらしく、これを目当てで来訪されるお客さんも少なくありません。
これは本当に喜ばしいことで、しかも今は全国的に古民家ブーム。この波に乗りたい!!
とはいうものの、それ以上に空き家が増えてるというのが現実です。家は人が住むためにあるものだし、そうならないとこのブームも結局ブームで終わってしまうと思っています。
日本で絶滅種となりつつある茅葺き屋根。そんな茅葺き屋根に未来はあるのか?について考えてみたいと思います。
目次
茅葺き屋根に未来はあるのか?について考えてみた。
茅葺き屋根っていつから始まったの?
茅葺き屋根の始まりは、遥か昔の縄文時代まで遡ります。狩りをしながら洞窟で暮らしていた人々が、家を作って定住をし始めた時(竪穴式住居って言えばわかりますよね?)に作った屋根が始まりとされています。
当時は茅葺というより、草葺でしたが、これがいわゆる日本の家の原点と言えるものです。これを見て「懐かしい」と感じる貴方はやっぱり日本人です。

この茅葺き屋根も、6世紀頃に瓦屋根が登場すると棲み分けが始まり、貴族や位の高い人達は高価な瓦を使うようになり、茅葺き屋根は農家を中心に残っていくことととなります。農家にとっては、材料の茅は近場にあって基本タダだし、職人もそれぞれの地域にいたから、それは自然な流れだったのでしょう。
カッコイイ瓦や耐久性の優れた屋根材に押される昨今。
明治になると、農家も瓦を使用することが認められ、茅葺きは一段と減っていきます。木造住宅では様々なカッコイイ瓦が登場し、屋根材も耐久性の高いものが増えていきました。

戦後は一時質の低い住宅が増えましたが、屋根材は進化を続け、瓦だけではなく例えばガルバリウム鋼板のような、安価で耐久性の優れた屋根材が普及しています。

ちなみに私の自宅も築3年の分譲住宅ですが、屋根材はそのガルバリウム鋼板が使われています。
ところで今、茅葺きの家には住めないの?
そんな時代に取り残されてしまった茅葺き屋根ですが、もちろん良い点もあります。
- 雨の音がほとんどしない
- 断熱効果が高い(夏は涼しく、冬は暖かい)
- 自然の材料を使っているので、地球に優しい

現在、建築基準法上では、茅葺屋根の建物を作ることは原則禁止されています。でも、建築基準法が制定される前に適法に建てられた建築物ついては違法建築にあたらないので、住むことは可能です。(同じものを再建築することはできません)
また、2006年には、国により緩和策があったようなので、市町村によっては茅葺屋根の新築を建てることは可能かもしれません。→石巻市の例。
デメリットはというと、やはりコスト。職人不足。
もともと茅葺屋根は、地場で取れた材料と地場の人間で作れるから安価に済んだ訳ですが、今は材料も職人も頑張って探さないとなかなか見つかりません。
だからもちろんコストがかかる。建物の大きさにもよりますが1000万円以上かかるのはザラです。
昔懐かしい、作業風景の写真が出てきました。

流通が減っていけば職人さんも食べてはいけません。結果として茅葺屋根は減って行くという悪循環に陥ってしまいます。その職人さんも高齢化が進んで、見つけるのも困難という話を最近はよく耳にします。
その悪循環を止めるには、やはり一定の市場がないといけないので、まずは今ある茅葺屋根を失わないことと、茅葺屋根へのリノベーション工法の開発、新築の際に茅葺屋根を導入できる規制緩和などが必要になってくると思います。
こんな建物は茅葺きやってみてもいいんじゃない?
さて、その茅葺き屋根へのリノベーション工法。今まで誰もやったことがないでしょうが、以下のような条件ならありかと思っています。
- 屋根の勾配が結構ある。(35度以上)
- 今の屋根は瓦だが、家を軽量化したい。
- 茅葺きの材料が比較的近くにある。
- 施主さんが茅葺をこよなく愛している←ここ重要
その際に一番大事なってくるのは防火です。茅葺きの最大の弱点は、火事にめっぽう弱いということです。今まで幾度となく美しい茅葺きの家屋が焼失の憂き目を見てきました。
ただ最近は、このような美しすぎる消火システムを構築している地域もあるようなので、、

こちらをクリックすると様子が見れます(圧巻です)
とても真似はできませんが、茅葺屋根の如く「束になって」真剣に取り組めばここまでできるってことです。
まとめ
いかがでしたか?茅葺屋根なんて今後未来がない。ましてやそんな家に住むなんて夢のまた夢かと思ったかもしれませんが、そうでもないことがお分かりいただけたでしょうか??
ここまで書いて、自分自身「これは夢ではないかも」と思ってきました!
古民家ブームをブームで終わらせず、茅葺屋根を残す(むしろ作る!)ことで、日本人の原点である自然と調和した暮らしに繋げていけたら最高だなと思ってます。
ちょっと気になる、と思う方は手を挙げてみてください。
イシでした。
イシ
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